◇リラ・メディテーションのすすめ <2005.02.11 第13号>

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□「想う」−ニューヨーク行(その1)

 

 私が24歳の時、1988年に生まれて初めて海外へ旅に出ました。今時の若

者が聞いたら「遅いですねー、僕は十代でしたよ」なんて言われてしまうかも

しれませんね。

 

 高校の時、米国の高校に一年間留学して帰国した女の子がいて、もちろん英

語ぺらぺら、とても憧れたのを覚えています。その女の子にというよりも、「留

学」、「海外」、「アメリカ」というものへの憧れでした。

 

 その後、自分の感情と身体を使って、物語を表現する役者というものに惹か

れ、卒業後、新劇の劇団の養成所に入り、演劇の基礎を学びました。一年後劇

団員になり、日本各地を巡演してまわりましたが、何か自分の求めているもの

とは違ったのです。それは、海外、具体的にはアメリカへ行きたい、一度アメ

リカという国をこの目で見てみたいという思いが満たされる為の何かが欠けて

いたのでしょう。

 

 そして私は、自分のこの思いを実現させる為に、行動に出たのです。まず劇

団をやめました。そして、ニューヨークの有名な演劇学校の会員である先生に

ついて、約3年間演技を学びました。

 

 演技の訓練もさることながら、先生のニューヨークの様々な話にとても心躍

らせられたのを覚えています。とにかく、アメリカ、特にニューヨークに関す

る情報を集め、その有名演劇学校出身の俳優の出演している映画を見まくりま

した。

 

 演劇論の本を読むのと平行して、旅行パンフレットやガイドブックのニュー

ヨークの写真を集めて、寝る前にいつもながめては「俺はニューヨークに行く

ぞ」と夢を膨らませていました。

 

 ここがポイントです。私は無意識のうちにリラ・メディテーションを実践し

ていたのです。それは、「アメリカに行きたいなあ」という漠然としたもので

はなく、「俺は絶対ニューヨークに行く」と強く「想い」、映画や写真というビ

ジュアルを使って、イメージを膨らませていったところです。

 

 この時期、瞑想法の本もいくつか読みあさり、自己流の瞑想を始めました。

これが、リラ・メディテーションの基礎にもなっているのですが、この時は、

そんなに深くは考えておらず、心を落ち着けて整理するために瞑想を続けてい

ました。若かったので、時間もたっぷりありましたし・・・。

 

 リラックスは、俳優訓練をする中で学びました。瞑想は自己流でしたが、こ

の間には、とても重要な関係があるのではないかと真剣に考え出したのもこの

ころでした。

 

 ニューヨークの写真やブロードウェイミュージカルの案内パンフレットなど

をながめながら、ニューヨークの街を歩く自分自身を強烈にイメージしました。

空港でチケット片手に搭乗する私。摩天楼の下、使い込んだナップザックを背

負い、早足で人混みの中を歩く私。着ている服も、実際に普段着ていたデニム

のジャンパーをイメージしました。ナップザックには何を入れていこうか、グ

リニッジビレッジの中を歩く私はどんな表情をしているのだろうかなど、正に

具体的に“自分主演映画”を心の中にイメージしていったのです。

 

 するとチャンスはやってきました。その時住んでいた安アパート取り壊しの

ため、立ち退き料という思いもよらなかったお金が手に入ったのです。

 

 「今だ、今しかない!」と考え、私はアルバイトも辞め、ニューヨーク行き

を決意し、先生の自宅に報告へ行きました。先生は、とにかくニューヨークの

空気を吸ってこいと、演劇学校の知り合いへの紹介状を持たせてくれ、私を送

り出してくれたのです。

 

 これが、私の夢の第一歩が始まる瞬間でした。次号では、私のニューヨーク

での旅が実際どのように展開されていったのかをお話しましょう。

 

 

 

 

 

 

 

relamedi@infoseek.jp